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DeathPlayerHunterカノン[降魔への序曲] EPISODE6
泣きじゃくる子をあやしながら、カノンは色々なニュアンスを含めた溜め息を吐く。
なかなか泣き止まない子供と、そして人の群れる場所に姿を現した不可思議な合成獣。
何故?
人が集まる場所に?
何故今さらになって?
観光客の金切声が響く中、レンは何かを探すように騒がしい浜の向こうを眺めてる。カノンは向う脛までを埋める波の方へ視線を投げて、
「……?」
波の間に白い、小さなものが見えた。
一瞬、ただの貝殻か珊瑚の一種かとも思ったが。
「……」
足元まで流れてきた"それ"を眺める。
「カノン」
ぼーっとしていたらしい、呼ばれて慌てて振り返る。パレオを振り乱した女性が向こうから駆けて来るのが見えた。たぶん、この子の母親だろう。
立ち上がる直前に、もう一度、彼女はそれを見つめ、何とはなしに拾い上げた。
クオノリア市街は騒然としていた。
それはそうだ。今まで、一般市民の中では可愛い噂として留まってきたものが、公に姿を現し、一般の観光客に危害を加えようとしたのだ。
WMOとしても揉み消しは効くまい。
かく言うカノンたちも撃退した本人たちと言うことで役所から長々と事情聴取をされ、やっとホテルに戻ってきたのは深夜も回った頃合だった。
「信じらんない! 何でこんな時間まで長々とつき合わされなきゃならないわけ!?」
「WMO、ローランが最後の最後まで政団支部に圧力をかけていたようだからな。困ったことに、ここじゃ役所より奴の方がでかい顔が出来るようだ」
「人が休暇で来てるってのに連日連日何だってのよ、ったく」
「諦めろ、このタイミングで来た俺たちの負けだ」
先頭を歩きつつ、文句を垂れるカノンを冷静に窘めるレン。延々と政団の手際の悪さと、ローランへの悪態を吐きながらホテルのロビーに向かう。
無理はない。
あの後、飛んできたWMOの機関員に捕まえられ、施設にてたっぷりと事情を聞かれた後、出たところで再び政団の関係者にも呼び出され。
結局、こんな時間まで帰ることを許されなかった。休暇も何もあったものではない。
カノンの怒った背を眺めながら沈思する。
あのとき。
獣に張り付いた護符はおそらく、昼間会ったあの少年が放ったものだろう。後ろは振り向かなかったが、妙に確信染みたものがある。
一応、政団にも彼のことは口にしていたので、今頃探し出されている頃合だろうが。
妙な少年だった。
―――それにしても、
『……あそこは些か危ないですね』
―――俺たちよりも先に"あれ"に気がついていた、っていうのか……? 一体……
「に、してもWMOの支部ってでかいのね」
ふと、悪態を切ってカノンが呟いたのはそんな一言だった。思考に沈みそうになっていたレンは、やや遅れて反応する。
彼女が振り返った先に佇むのは、すっかり暗い夜空に伸びる円筒形の、市街で最も大きな建物だった。
町を訪れたときから目立っていたが、まさかあれがWMOの施設だとは思っていなかった。
それだけクオノリアに分けられているWMOの財政が大きい、即ち、ローランの権力の程もわかる。あんなものが相手では政団も苦労するだろう。
「聞いた話じゃ、地下もあって町の数ブロックくらい覆ってるんだってさ。
権力の肥大にも程があるわよね」
「傾きすぎていらんことにならなければいいがな。まあ、知ったことじゃない」
「それは知ったことじゃないわ。けど権力に感けて、人の自由を奪っていいもんじゃないわよ、ったく!!」
夜中だというのに、近所迷惑も何のそので不機嫌に地団太を踏み鳴らす。
気持ちはわからないでもないが……
「少し落ち着け、とっくに夜中だぞ」
「~~~……」
納得はいかないながらも、とりあえず静かになるカノン。その足でロビーに足を踏み入れて、
「レン、おかえりぃぃぃ~~~~~ッ!!」
「うあッ!?」
黄色い声に耳を劈かれる。
ああ、一日も終わりだというのに疲れた身体でなんて奴の相手をしなくちゃならんのだ。
レンと言えば気力体力共になくなっているらしい。飛びついて来た塊を、何とか片手であしらいながらロビーに入る。
「よー、ようやく帰ったかお前ら。
カノン、夜道だからって何かされなかったろうな?」
「レン、大丈夫ぅ? こんな暗い中で、あの女に変なことされなかったぁ?」
「また訳のわからんことを……って」
自分たちとフロント係だけが残っているロビーを見渡して、カノンは違和感に気がついた。シリアが立ち上がって突進してきたソファに、彼ら二人とは別の人影がある。
顔は整っているのに、何かおどおど落ち着きのない物腰。
昨日会ったばかりの顔だ。見間違えるはずもない。
「クレイヴさん? どうかしましたか?」
何でもないように問いかけるが、内心は気が気ではない。まさかローラン側のルナから情報を買ったことがバレたとか。
声をかけるとびくっ、と肩を震わせる。
「いやぁ、あのそのですねぇ……」
とりあえずソファから立ち上がるが、やはりきょときょとと落ち着きがない。まあ、もともとこんな人だった気がするが……
それにしたって顔色が悪い。
―――まあ、無理もないか……
あんなことがあった後だ。顧客だって激減したに違いない。ホテル経営者としては遺憾だろう。
―――しかし、何か面倒そうな嫌な匂いがするなぁ……
軽く頭を振って、何のつもりか肩に手を置いて来るアルティオを叩いてからソファに向かう。
「その、皆さんにちょっとお話がありまして……。
ああ、どうぞ、お疲れでしょうからまずは寛いで……」
「オーナー」
言いかけたクレイヴの声を、フロント係の男が遮った。
―――いや、どうでもいいけど従業員の声にまでびくついた反応すんなよ、頼むから。
ここまでチキンハートというか何と言うか、情けないと呆れを通り越して涙が出てくる。
「ああ、すいません。―――どうしました?」
どこかよたよたとした歩きでフロントまで駆けて、いや、半分転がって、と称した方が正しい。あたふたとフロントまで辿り着くと、フロント係の男はぼそぼそと、何かをクレイヴの耳元に耳打ちする。
人の顔はすぐに色を変えるものなのだと納得した。
先程まで青かったクレイヴの顔色が、それを通り越して真っ白になっている。良くない報せ、というか絶望的な連絡事項なのだろう。
観光閉鎖とか、政団かWMOの監査とか。
よろよろ身を起こすと、体裁だけは何とか整えて、こちらを振り向いた。
「すいません……少し、用が出来てしまったようです。お話は明日の朝にでも、ということで、よろしいでしょうか? 朝食のわずかな時間でも結構ですから」
正直、これ以上こんな事件に関わることなど御免被りたい気分だったが、悲痛な表情でやつれた声で言われると無下に断るのも忍びない。一度は依頼人になった人物なら尚更。
カノンは後ろの方を振り向いた。
シリアは相変わらず、レンの腕にぶら下がろうとして失敗しているだけなので無視するとして。
アルティオは軽く肩を竦めて再び肩に手を回してこようとする。振り払う気力もなかったが、とりあえず反対ではないらしい。レンもレンで渋い表情のまま黙ったまま……ということはカノンと同じく気は進まないが話だけなら、ということだろう。
どうにしろ聞くだけならただだ。
「解りました。では、朝食の時間に」
「ありがとうございます。では……」
そのままクレイヴはフロント係の男に支えられるようにして、ホテルの『関係者以外お断り』の扉に消えていく。
数瞬経って、ロビー内に下りた静寂を打ち破ったのはアルティオの一声だった。
「あー、じゃあそろそろ休むか? 疲れたんだろ?」
「そーね……また明日、面倒なことになりそうだし」
「レーン、そんなに疲れたなら私が特別マッサージで癒してあげよーかv」
―――って、あんたは思いっきりあたしと同室だろーが。
「断る。そんなつまらないものを受けるくらいなら一時間、湯に浸かった方がマシだ。アルティオ、鍵を貸せ」
「あー、ほいよっと」
ポケットから出した鍵を放り投げる。放物線を描いたそれは、ずれる事無くレンの手の中に落ちた。こういった辺り、アルティオもやはり一級の剣士である。
「ねー、レン、じゃあ一緒にはい……」
ばきッ!!
―――ああ、お約束。
「ああ、そうだカノン」
「何?」
そのまま階上に上がっていこうとしたレンの足が止まる。振り返ってかけられた声に、顔を上げる。
「あまり気にするんじゃない。あれもあれで他人の数倍過激な人生を送ってるんだ。自分のことに対してくらい、責任は持っている」
「……」
―――バレバレ、か……
小さく笑って、『了解』と随分力のない返事を返した。彼は少しだけ眉を潜めて踵を返す。
「あ、ちょっと待ってよ、れぇぇん」
その背中を慌てて起き上がったシリアが追いかけていく。諦めが悪いというか、それともその行動力に感服するところなのか。
ホテルの長い階段の上にシリアの長い黒髪が完全に消えるのを待って、カノンは身体を伸ばしながらソファへと向かった。
「お疲れさん」
「あー、全くよ」
まだ部屋に戻る気はないのか、それともいらないちょっかいをかけてくる気なのか、階段の下に佇んだままだったアルティオが声をかけてくる。
「さっきの、ルナのことか?」
「まあ……って、あたしってひょっとしてそんなに解りやすい?」
「いや、今の状況でお前が気にすること、って言ったらあいつのことだろ? 一応、親友なんだし」
許可した覚えはないが、勝手に隣に座って来る。どうこう言う気力も今はない。
「そ、ね……。今日の取調べ、っていうか事情聴取っていうか……ちらっと会ったんだけどさ。
あの状況じゃあ、気安く声をかける、なんて出来ないのはわかるんだけど……」
天井を仰ぐ。深夜のホテルのわずかな明かりが、ゆらゆらと目の中に入って来る。
疲労感が増した。
「何か……黙って、権力者に従ってる図、ってのがどうもいつもとらしくないなぁ、って気になってね」
「確かになぁ……」
笑い飛ばしながらアルティオは相槌を打つ。
「いつもならアヤシイ場所とか人があれば呪文一発で片付けるような奴だもんなぁ……」
「そうそう。何か勢いに欠ける、っていうかね。でなもんだから、何かあったのかなぁ、って。柄にもなく心配してたのよ」
「ま、確かにあいつ、何でもかんでも抱え込む癖はあるけどな。一切、人に昔のことも話したりしないし」
アルティオはやれやれと首を振る。
す、とカノンは真顔になってその言葉を受け止めた。
ルナは。
彼女は確かに普通の人間にない壮絶な半生を歩いてきたと言っていい。
十三歳のとき、彼女は故郷であるアゼルフィリーを出て行った。彼女の姉も旅立った、当時の惑う教育の最高峰、WMOの教育機関『月の館』に入学するために。
常人とはかけ離れた教育の場だったが、数年の間は途切れ途切れでも手紙が届き、やれ大変だと大変だと書かれていた記憶があるが、文面が弾んでいたということは、彼女なりに楽しい学生生活を送っていたのだろう。
顔なじみが故郷を起った寂しさはあったが、だからと言って彼女の道を邪魔するわけはない。
むしろ、魔道研究の前線に立とうと、その未来を約束されつつあった彼女を彼女の家族も、カノンたちも祝福した。
しかし。
その夢は、ある日、いきなり断たれることになった。
彼女が『月の館』に入ってどれだけ経った頃だろうか。唐突に、その報せはアゼルフィリーに届いた。
寝耳に水の話だった。
ある犯罪組織によって、『月の館』は襲撃を受けた。
当時の事件は、今でも最悪の虐殺事件として紙面に残っている。
A級犯罪人ニード=フレイマー率いるその一団の放った火は、悪い風の具合で瞬く間に『館』を包み込み、教師や生徒たちが気がついたときには、周囲は既に火の海だったという。
全校生徒、教師含めて五百六名のうち、生き残った者はたった百名以下。行方不明者は三十六名。そのうちの何名かは、その犯罪組織に捕らえられ、組織の一員として犯罪行為の手伝いを強いられていたという。
ルナもその中の一人。
彼女の場合は最悪だった。
"ディスナー"の特殊な魔道師としての血に目を付けられ、魔道許容量が人よりはるかに高かったのが災いした。
彼女はその体を、組織が崇拝するある魔族の器として利用されたのだ。
それが、約一年と半年前。
結局、彼女は組織に反旗を翻し、逆にその組織を壊滅に追い込んだ。その功績を讃えられ、今では政団にもWMOでも一目置かれる存在となっている。
普段、ふざけてはいるが、自分が犯罪行為に加担していた罪は消えるはずもなく。
心のどこかではその傷に痛めつけられているはずなのに。
カノンは、彼女の泣き言の一切を聞いた記憶はない。
だからこそ、不安なのだ。
「大丈夫だって」
「……」
「ルナの考えてることなんて正直、俺たち誰もわかっちゃいねーよ。肝心なときに誰もあれの側にいなかったんだからな。
でもさ、ルナはそんなに俺たちのことを信用してないと思うか?」
「……まあ、そうだけど」
「どうにもこうにもなくなって、万が一、ってときは何かしが言って来るだろ。今は、あいつを信じてやろうや」
ぱん、と膝を打ってアルティオは断言する。
ふー、と長い息を吐き、
「ったく、あんたみたいなのに諭されると思わなかったわよ」
「ひでーなー。これでもちゃんと心配してたんだぜ。何せ、お前ら昔から仲良かったしな、傍から見てて姉妹みたいだったぜ」
「そう?」
「ああ。正直、ちょっと嫉妬してた」
「あのねー……」
「じょーだんだって。それにさ」
苦笑混じりに先程、彼らが消えた階段の方を振り向くと、
「信じられないかもしれねーけど。シリアも心配してた」
「あいつが?」
―――それは本気で信じ難い。
ぎゅ、と眉根を寄せて首を傾げるカノンにアルティオは笑いながら手をぱたぱたと振って見せる。
「いや、まあ……『あいつら何つまんないことやってるのかしら?』みたいな可愛くない言い方だったけどよ。
昔からああいう奴だったろ? まあ、お前には特に絶対そういう顔はしないけど、影で結構気にかけてんだぜ?」
「そうなの?」
初耳だ。本気で信じられない。
「まー、信じられないのはあいつの普段の行いのせいだろうけどな」
「あんたが言うか……」
「ま、それはそれとして。俺だってシリアだって、レンの野郎……は、言うまでもないか。
皆、心配してるのは一緒なんだ。あんまり根詰めて考えんなよ」
「……そうね。ごめん」
素直に謝罪が口を告い出た。
「まあ……ためにはなったわ。ありがと。少しは男は上げたじゃないの」
さりげなく吐いたその一言に、アルティオは一瞬固まってから目を輝かせてソファから立ち上がる。
鼻息荒く、カノンの手を取って、
「ホントかッ!? カノン、ようやく俺の魅力に気がついてくれたんだなッ!? くくぅッ! 感涙だ、長かったぜここまでッ! そうと決まればすぐ教会に……ッ」
「ンなわけあるかッ!!」
どがッ!!
「ぐあッ!?」
顎を蹴り飛ばしてやると、そのまま絨毯の上で大人しくなる。
「―――ったく、たまーに多少褒めてやっただけですぐに図に乗る……」
すっかり疲労が溜まってしまった肩を解しながら立ち上がる。ガラス張りのロビーの外に、大分傾いた月が静かに佇んでいた。
考え込んでいても仕方がない。
この件、深くは関わらないことを決めたのだ。
明日、クレイヴの話を聞いて、しっかり断りの言を入れて置こう。
それでもなお、ルナが何かしがの事情を抱えてやってきたなら、そのときまた話し合えばいい。
「よしッ」
そうと決まればさっさと寝てしまおう。休暇で来たというのに休めなければ何もならない。
そう決意して、カノンは軽薄な男の伸びる静まりかえったロビーを後にしたのだった。
しっかりと断りを入れる―――つもりだった、のだが。
「……ん?」
その朝、カノンは外から響いて来る騒がしさで目を覚ました。ぼやけた視界の中で時計を見る。
まだ早い時間だというのに、外から人の声が聞こえるというのはどういうことなのか。それも一人や二人の話し声ではない。大勢の、それも話し声などではなく、いきり立った喧しい騒音だ。
「ふにゃ……レン、もぉ、恥ずかしいってばぁ……」
そんな中でも熟睡し、何やら幸せそうに寝言をのたまうシリアを横目に、スプリングが効いた高級ホテルのふかふかのベッドを降りる。
……普段、安宿に泊まり慣れているせいで、妙に寝辛かったりするのだ、これが。
まあ、それはともかく。
テラスになっている窓に近づくと、騒音はなお大きく聞こえるようになる。
―――ったく、昨日あんだけ遅かったってのに……。
何故、こんな朝っぱらからこんなものに起こされなければいけないのか。我が身を嘆きながらカーテンに手をかける。
朝日が染みているカーテンを、細く開ける。
「……何よ…、あれ……」
ホテルの前に人が集まっている。正面玄関に、まるでそこが何かのアトラクションの入り口であるかのように人が群がって、それこそ芋を洗うようだ。
気がつけば、一歩引いて観察している野次馬も見て取れる。
「一体、何事よ……」
一度、カーテンを閉めて部屋の奥へ戻る。ホテル側に常備されていたパジャマを脱いで、いつもの服に着替える。コートは着ずに、とりあえず帯剣だけして部屋を出る。
ホテルの中まで何か慌しい。従業員と何度も擦れ違うが、皆、どこか浮き足立っていた。階下へ階段を下り、ロビーに出ようとしたところで、
「レン?」
従業員の一人……支配人か誰かだろうか、ぴしっとしたスーツを着た初老の男性を捕まえている彼を見つけた。
いつもと変わらぬ無表情だが、どこか苦いものが混じっている気がする。対する支配人の顔色は真っ青で、地に足が着いていない。まったく、どうしたことだ。
しばらく眺めていると、レンの方がこちらに気がついたようだ。
「……起きたか」
「おはよ。結構な騒ぎになってるけど、何かあったの?」
「そ、それが……」
震える声で口にしようとする支配人。が、それも全身のがくがくした震えに消え失せてしまう。
陰鬱な息を吐いて、レンが言葉を繋いでくれる。
「カノン、冷静になって聞け」
「うん……?」
レンは今一度、騒ぎになっている正面玄関を見た。慌てふためいた従業員が、そちら側に集まっていく。騒ぎを止めるためだろう。
それを眺めながら、レンは普段よりか小さくボリュームを落とした声で、言った。
「クレイヴが殺された」
「―――・・・え?」
←5へ
なかなか泣き止まない子供と、そして人の群れる場所に姿を現した不可思議な合成獣。
何故?
人が集まる場所に?
何故今さらになって?
観光客の金切声が響く中、レンは何かを探すように騒がしい浜の向こうを眺めてる。カノンは向う脛までを埋める波の方へ視線を投げて、
「……?」
波の間に白い、小さなものが見えた。
一瞬、ただの貝殻か珊瑚の一種かとも思ったが。
「……」
足元まで流れてきた"それ"を眺める。
「カノン」
ぼーっとしていたらしい、呼ばれて慌てて振り返る。パレオを振り乱した女性が向こうから駆けて来るのが見えた。たぶん、この子の母親だろう。
立ち上がる直前に、もう一度、彼女はそれを見つめ、何とはなしに拾い上げた。
クオノリア市街は騒然としていた。
それはそうだ。今まで、一般市民の中では可愛い噂として留まってきたものが、公に姿を現し、一般の観光客に危害を加えようとしたのだ。
WMOとしても揉み消しは効くまい。
かく言うカノンたちも撃退した本人たちと言うことで役所から長々と事情聴取をされ、やっとホテルに戻ってきたのは深夜も回った頃合だった。
「信じらんない! 何でこんな時間まで長々とつき合わされなきゃならないわけ!?」
「WMO、ローランが最後の最後まで政団支部に圧力をかけていたようだからな。困ったことに、ここじゃ役所より奴の方がでかい顔が出来るようだ」
「人が休暇で来てるってのに連日連日何だってのよ、ったく」
「諦めろ、このタイミングで来た俺たちの負けだ」
先頭を歩きつつ、文句を垂れるカノンを冷静に窘めるレン。延々と政団の手際の悪さと、ローランへの悪態を吐きながらホテルのロビーに向かう。
無理はない。
あの後、飛んできたWMOの機関員に捕まえられ、施設にてたっぷりと事情を聞かれた後、出たところで再び政団の関係者にも呼び出され。
結局、こんな時間まで帰ることを許されなかった。休暇も何もあったものではない。
カノンの怒った背を眺めながら沈思する。
あのとき。
獣に張り付いた護符はおそらく、昼間会ったあの少年が放ったものだろう。後ろは振り向かなかったが、妙に確信染みたものがある。
一応、政団にも彼のことは口にしていたので、今頃探し出されている頃合だろうが。
妙な少年だった。
―――それにしても、
『……あそこは些か危ないですね』
―――俺たちよりも先に"あれ"に気がついていた、っていうのか……? 一体……
「に、してもWMOの支部ってでかいのね」
ふと、悪態を切ってカノンが呟いたのはそんな一言だった。思考に沈みそうになっていたレンは、やや遅れて反応する。
彼女が振り返った先に佇むのは、すっかり暗い夜空に伸びる円筒形の、市街で最も大きな建物だった。
町を訪れたときから目立っていたが、まさかあれがWMOの施設だとは思っていなかった。
それだけクオノリアに分けられているWMOの財政が大きい、即ち、ローランの権力の程もわかる。あんなものが相手では政団も苦労するだろう。
「聞いた話じゃ、地下もあって町の数ブロックくらい覆ってるんだってさ。
権力の肥大にも程があるわよね」
「傾きすぎていらんことにならなければいいがな。まあ、知ったことじゃない」
「それは知ったことじゃないわ。けど権力に感けて、人の自由を奪っていいもんじゃないわよ、ったく!!」
夜中だというのに、近所迷惑も何のそので不機嫌に地団太を踏み鳴らす。
気持ちはわからないでもないが……
「少し落ち着け、とっくに夜中だぞ」
「~~~……」
納得はいかないながらも、とりあえず静かになるカノン。その足でロビーに足を踏み入れて、
「レン、おかえりぃぃぃ~~~~~ッ!!」
「うあッ!?」
黄色い声に耳を劈かれる。
ああ、一日も終わりだというのに疲れた身体でなんて奴の相手をしなくちゃならんのだ。
レンと言えば気力体力共になくなっているらしい。飛びついて来た塊を、何とか片手であしらいながらロビーに入る。
「よー、ようやく帰ったかお前ら。
カノン、夜道だからって何かされなかったろうな?」
「レン、大丈夫ぅ? こんな暗い中で、あの女に変なことされなかったぁ?」
「また訳のわからんことを……って」
自分たちとフロント係だけが残っているロビーを見渡して、カノンは違和感に気がついた。シリアが立ち上がって突進してきたソファに、彼ら二人とは別の人影がある。
顔は整っているのに、何かおどおど落ち着きのない物腰。
昨日会ったばかりの顔だ。見間違えるはずもない。
「クレイヴさん? どうかしましたか?」
何でもないように問いかけるが、内心は気が気ではない。まさかローラン側のルナから情報を買ったことがバレたとか。
声をかけるとびくっ、と肩を震わせる。
「いやぁ、あのそのですねぇ……」
とりあえずソファから立ち上がるが、やはりきょときょとと落ち着きがない。まあ、もともとこんな人だった気がするが……
それにしたって顔色が悪い。
―――まあ、無理もないか……
あんなことがあった後だ。顧客だって激減したに違いない。ホテル経営者としては遺憾だろう。
―――しかし、何か面倒そうな嫌な匂いがするなぁ……
軽く頭を振って、何のつもりか肩に手を置いて来るアルティオを叩いてからソファに向かう。
「その、皆さんにちょっとお話がありまして……。
ああ、どうぞ、お疲れでしょうからまずは寛いで……」
「オーナー」
言いかけたクレイヴの声を、フロント係の男が遮った。
―――いや、どうでもいいけど従業員の声にまでびくついた反応すんなよ、頼むから。
ここまでチキンハートというか何と言うか、情けないと呆れを通り越して涙が出てくる。
「ああ、すいません。―――どうしました?」
どこかよたよたとした歩きでフロントまで駆けて、いや、半分転がって、と称した方が正しい。あたふたとフロントまで辿り着くと、フロント係の男はぼそぼそと、何かをクレイヴの耳元に耳打ちする。
人の顔はすぐに色を変えるものなのだと納得した。
先程まで青かったクレイヴの顔色が、それを通り越して真っ白になっている。良くない報せ、というか絶望的な連絡事項なのだろう。
観光閉鎖とか、政団かWMOの監査とか。
よろよろ身を起こすと、体裁だけは何とか整えて、こちらを振り向いた。
「すいません……少し、用が出来てしまったようです。お話は明日の朝にでも、ということで、よろしいでしょうか? 朝食のわずかな時間でも結構ですから」
正直、これ以上こんな事件に関わることなど御免被りたい気分だったが、悲痛な表情でやつれた声で言われると無下に断るのも忍びない。一度は依頼人になった人物なら尚更。
カノンは後ろの方を振り向いた。
シリアは相変わらず、レンの腕にぶら下がろうとして失敗しているだけなので無視するとして。
アルティオは軽く肩を竦めて再び肩に手を回してこようとする。振り払う気力もなかったが、とりあえず反対ではないらしい。レンもレンで渋い表情のまま黙ったまま……ということはカノンと同じく気は進まないが話だけなら、ということだろう。
どうにしろ聞くだけならただだ。
「解りました。では、朝食の時間に」
「ありがとうございます。では……」
そのままクレイヴはフロント係の男に支えられるようにして、ホテルの『関係者以外お断り』の扉に消えていく。
数瞬経って、ロビー内に下りた静寂を打ち破ったのはアルティオの一声だった。
「あー、じゃあそろそろ休むか? 疲れたんだろ?」
「そーね……また明日、面倒なことになりそうだし」
「レーン、そんなに疲れたなら私が特別マッサージで癒してあげよーかv」
―――って、あんたは思いっきりあたしと同室だろーが。
「断る。そんなつまらないものを受けるくらいなら一時間、湯に浸かった方がマシだ。アルティオ、鍵を貸せ」
「あー、ほいよっと」
ポケットから出した鍵を放り投げる。放物線を描いたそれは、ずれる事無くレンの手の中に落ちた。こういった辺り、アルティオもやはり一級の剣士である。
「ねー、レン、じゃあ一緒にはい……」
ばきッ!!
―――ああ、お約束。
「ああ、そうだカノン」
「何?」
そのまま階上に上がっていこうとしたレンの足が止まる。振り返ってかけられた声に、顔を上げる。
「あまり気にするんじゃない。あれもあれで他人の数倍過激な人生を送ってるんだ。自分のことに対してくらい、責任は持っている」
「……」
―――バレバレ、か……
小さく笑って、『了解』と随分力のない返事を返した。彼は少しだけ眉を潜めて踵を返す。
「あ、ちょっと待ってよ、れぇぇん」
その背中を慌てて起き上がったシリアが追いかけていく。諦めが悪いというか、それともその行動力に感服するところなのか。
ホテルの長い階段の上にシリアの長い黒髪が完全に消えるのを待って、カノンは身体を伸ばしながらソファへと向かった。
「お疲れさん」
「あー、全くよ」
まだ部屋に戻る気はないのか、それともいらないちょっかいをかけてくる気なのか、階段の下に佇んだままだったアルティオが声をかけてくる。
「さっきの、ルナのことか?」
「まあ……って、あたしってひょっとしてそんなに解りやすい?」
「いや、今の状況でお前が気にすること、って言ったらあいつのことだろ? 一応、親友なんだし」
許可した覚えはないが、勝手に隣に座って来る。どうこう言う気力も今はない。
「そ、ね……。今日の取調べ、っていうか事情聴取っていうか……ちらっと会ったんだけどさ。
あの状況じゃあ、気安く声をかける、なんて出来ないのはわかるんだけど……」
天井を仰ぐ。深夜のホテルのわずかな明かりが、ゆらゆらと目の中に入って来る。
疲労感が増した。
「何か……黙って、権力者に従ってる図、ってのがどうもいつもとらしくないなぁ、って気になってね」
「確かになぁ……」
笑い飛ばしながらアルティオは相槌を打つ。
「いつもならアヤシイ場所とか人があれば呪文一発で片付けるような奴だもんなぁ……」
「そうそう。何か勢いに欠ける、っていうかね。でなもんだから、何かあったのかなぁ、って。柄にもなく心配してたのよ」
「ま、確かにあいつ、何でもかんでも抱え込む癖はあるけどな。一切、人に昔のことも話したりしないし」
アルティオはやれやれと首を振る。
す、とカノンは真顔になってその言葉を受け止めた。
ルナは。
彼女は確かに普通の人間にない壮絶な半生を歩いてきたと言っていい。
十三歳のとき、彼女は故郷であるアゼルフィリーを出て行った。彼女の姉も旅立った、当時の惑う教育の最高峰、WMOの教育機関『月の館』に入学するために。
常人とはかけ離れた教育の場だったが、数年の間は途切れ途切れでも手紙が届き、やれ大変だと大変だと書かれていた記憶があるが、文面が弾んでいたということは、彼女なりに楽しい学生生活を送っていたのだろう。
顔なじみが故郷を起った寂しさはあったが、だからと言って彼女の道を邪魔するわけはない。
むしろ、魔道研究の前線に立とうと、その未来を約束されつつあった彼女を彼女の家族も、カノンたちも祝福した。
しかし。
その夢は、ある日、いきなり断たれることになった。
彼女が『月の館』に入ってどれだけ経った頃だろうか。唐突に、その報せはアゼルフィリーに届いた。
寝耳に水の話だった。
ある犯罪組織によって、『月の館』は襲撃を受けた。
当時の事件は、今でも最悪の虐殺事件として紙面に残っている。
A級犯罪人ニード=フレイマー率いるその一団の放った火は、悪い風の具合で瞬く間に『館』を包み込み、教師や生徒たちが気がついたときには、周囲は既に火の海だったという。
全校生徒、教師含めて五百六名のうち、生き残った者はたった百名以下。行方不明者は三十六名。そのうちの何名かは、その犯罪組織に捕らえられ、組織の一員として犯罪行為の手伝いを強いられていたという。
ルナもその中の一人。
彼女の場合は最悪だった。
"ディスナー"の特殊な魔道師としての血に目を付けられ、魔道許容量が人よりはるかに高かったのが災いした。
彼女はその体を、組織が崇拝するある魔族の器として利用されたのだ。
それが、約一年と半年前。
結局、彼女は組織に反旗を翻し、逆にその組織を壊滅に追い込んだ。その功績を讃えられ、今では政団にもWMOでも一目置かれる存在となっている。
普段、ふざけてはいるが、自分が犯罪行為に加担していた罪は消えるはずもなく。
心のどこかではその傷に痛めつけられているはずなのに。
カノンは、彼女の泣き言の一切を聞いた記憶はない。
だからこそ、不安なのだ。
「大丈夫だって」
「……」
「ルナの考えてることなんて正直、俺たち誰もわかっちゃいねーよ。肝心なときに誰もあれの側にいなかったんだからな。
でもさ、ルナはそんなに俺たちのことを信用してないと思うか?」
「……まあ、そうだけど」
「どうにもこうにもなくなって、万が一、ってときは何かしが言って来るだろ。今は、あいつを信じてやろうや」
ぱん、と膝を打ってアルティオは断言する。
ふー、と長い息を吐き、
「ったく、あんたみたいなのに諭されると思わなかったわよ」
「ひでーなー。これでもちゃんと心配してたんだぜ。何せ、お前ら昔から仲良かったしな、傍から見てて姉妹みたいだったぜ」
「そう?」
「ああ。正直、ちょっと嫉妬してた」
「あのねー……」
「じょーだんだって。それにさ」
苦笑混じりに先程、彼らが消えた階段の方を振り向くと、
「信じられないかもしれねーけど。シリアも心配してた」
「あいつが?」
―――それは本気で信じ難い。
ぎゅ、と眉根を寄せて首を傾げるカノンにアルティオは笑いながら手をぱたぱたと振って見せる。
「いや、まあ……『あいつら何つまんないことやってるのかしら?』みたいな可愛くない言い方だったけどよ。
昔からああいう奴だったろ? まあ、お前には特に絶対そういう顔はしないけど、影で結構気にかけてんだぜ?」
「そうなの?」
初耳だ。本気で信じられない。
「まー、信じられないのはあいつの普段の行いのせいだろうけどな」
「あんたが言うか……」
「ま、それはそれとして。俺だってシリアだって、レンの野郎……は、言うまでもないか。
皆、心配してるのは一緒なんだ。あんまり根詰めて考えんなよ」
「……そうね。ごめん」
素直に謝罪が口を告い出た。
「まあ……ためにはなったわ。ありがと。少しは男は上げたじゃないの」
さりげなく吐いたその一言に、アルティオは一瞬固まってから目を輝かせてソファから立ち上がる。
鼻息荒く、カノンの手を取って、
「ホントかッ!? カノン、ようやく俺の魅力に気がついてくれたんだなッ!? くくぅッ! 感涙だ、長かったぜここまでッ! そうと決まればすぐ教会に……ッ」
「ンなわけあるかッ!!」
どがッ!!
「ぐあッ!?」
顎を蹴り飛ばしてやると、そのまま絨毯の上で大人しくなる。
「―――ったく、たまーに多少褒めてやっただけですぐに図に乗る……」
すっかり疲労が溜まってしまった肩を解しながら立ち上がる。ガラス張りのロビーの外に、大分傾いた月が静かに佇んでいた。
考え込んでいても仕方がない。
この件、深くは関わらないことを決めたのだ。
明日、クレイヴの話を聞いて、しっかり断りの言を入れて置こう。
それでもなお、ルナが何かしがの事情を抱えてやってきたなら、そのときまた話し合えばいい。
「よしッ」
そうと決まればさっさと寝てしまおう。休暇で来たというのに休めなければ何もならない。
そう決意して、カノンは軽薄な男の伸びる静まりかえったロビーを後にしたのだった。
しっかりと断りを入れる―――つもりだった、のだが。
「……ん?」
その朝、カノンは外から響いて来る騒がしさで目を覚ました。ぼやけた視界の中で時計を見る。
まだ早い時間だというのに、外から人の声が聞こえるというのはどういうことなのか。それも一人や二人の話し声ではない。大勢の、それも話し声などではなく、いきり立った喧しい騒音だ。
「ふにゃ……レン、もぉ、恥ずかしいってばぁ……」
そんな中でも熟睡し、何やら幸せそうに寝言をのたまうシリアを横目に、スプリングが効いた高級ホテルのふかふかのベッドを降りる。
……普段、安宿に泊まり慣れているせいで、妙に寝辛かったりするのだ、これが。
まあ、それはともかく。
テラスになっている窓に近づくと、騒音はなお大きく聞こえるようになる。
―――ったく、昨日あんだけ遅かったってのに……。
何故、こんな朝っぱらからこんなものに起こされなければいけないのか。我が身を嘆きながらカーテンに手をかける。
朝日が染みているカーテンを、細く開ける。
「……何よ…、あれ……」
ホテルの前に人が集まっている。正面玄関に、まるでそこが何かのアトラクションの入り口であるかのように人が群がって、それこそ芋を洗うようだ。
気がつけば、一歩引いて観察している野次馬も見て取れる。
「一体、何事よ……」
一度、カーテンを閉めて部屋の奥へ戻る。ホテル側に常備されていたパジャマを脱いで、いつもの服に着替える。コートは着ずに、とりあえず帯剣だけして部屋を出る。
ホテルの中まで何か慌しい。従業員と何度も擦れ違うが、皆、どこか浮き足立っていた。階下へ階段を下り、ロビーに出ようとしたところで、
「レン?」
従業員の一人……支配人か誰かだろうか、ぴしっとしたスーツを着た初老の男性を捕まえている彼を見つけた。
いつもと変わらぬ無表情だが、どこか苦いものが混じっている気がする。対する支配人の顔色は真っ青で、地に足が着いていない。まったく、どうしたことだ。
しばらく眺めていると、レンの方がこちらに気がついたようだ。
「……起きたか」
「おはよ。結構な騒ぎになってるけど、何かあったの?」
「そ、それが……」
震える声で口にしようとする支配人。が、それも全身のがくがくした震えに消え失せてしまう。
陰鬱な息を吐いて、レンが言葉を繋いでくれる。
「カノン、冷静になって聞け」
「うん……?」
レンは今一度、騒ぎになっている正面玄関を見た。慌てふためいた従業員が、そちら側に集まっていく。騒ぎを止めるためだろう。
それを眺めながら、レンは普段よりか小さくボリュームを落とした声で、言った。
「クレイヴが殺された」
「―――・・・え?」
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